大久保公神道碑


                                      
 月刊競書雑誌『不二』 12月号の解説  日下部鳴鶴の臨書 
  
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12月の課題字で日下部鳴鶴の解説を少し具体的にすすめます。

私は 田舎から上京して大学3年生の時、初めて『門下生として犀水 先生の書斎でご指導いただいたのが鳴鶴の「津田永忠碑」の廻腕による臨書です。

犀水先生と日下部鳴鶴との墨縁によると、大正4年犀水先生は(小倉師範学校卒業の年)卒業旅行で上京し、西川萱南の紹介状を携え、青山の静閑堂の日下部鳴鶴(当時78歳)に面会が出来た際『書道上達の秘訣を教えてください』とお尋ねされ、日下部鳴鶴から『若き時に廻腕により腕を練っておきなさい』と答えられたそうです。
爾来先生は鳴鶴の廻腕を極められ,後進の指導にも努められました。

犀水先生著書の『八稜研斎随録』の3ページに筆法の基本が解説されています。

 『欲竪 先横 欲横  先竪。』 竪(たて)せんと欲せば先ず横し、横せんと欲せば先ず竪す。

 とありますが、更に線質をよく観察しますと、線の妙味にすばらしいものがあります。
 一字ごと、白洲会会員の皆様の為、具体的に解説します。

剛毅(ごうき)にして撓(たゆ)まず。
   

六朝の方筆円筆の筆法にて、竪(たて)せんと欲せば先ず横し、横せんと欲せば先ず竪す。とあるように起筆を大切に、よく観察して学習ください。
字形が掌握できましたら、少しずつ作品の線質と懐(白)の間の取り方などにも注意を向け勉強ください。

     @『剛』長い竪の線が3本目に付きます。単純さを避ける為、それぞれの
  線の変化を捉え学んでください。
A『岡』横線が3本ありますが線の行方に注意。
B『はね』は六朝の書法と同じ重厚に!
    @ 鳴鶴の書は輪郭に目をやると正方に近いまとめ
  懐をゆったり取る。
A最後の2画の波法(三折法) をさりげなく表現。
    @ 横せんと欲せば先ず竪す。で筆を進めこの横画にも三折のような
 波法が見られ線質にうねりを感じます。
A一画目の終筆もしっかり止めず、この表現が文字の雄大さを
 表す効果になっています。
B三画目の竪線にも非凡な線の妙味を捉えましょう。
C神田『温恭堂』製の羊毫の超長鋒筆を使い紙背を抜くような線質でありながらしなやかさのある線質。
 
    @この文字に鳴鶴 の横線の起筆の全ての表現が見れると言っても
過言ではありません。 8本の起筆の微妙と線の行方、変化どれ一つ、
同じ表現がありません。この筆法から鳴鶴のすごさ、私の知っている限りでは
ここまで、計算された古典は知りません。



A最終画のL形の部分の『羊毫の超長鋒筆』ならでの線質のあやが又すばらしい
ですね。
     
会員の皆さん、月刊競書雑誌『不二』では5級になりますと、課題では楷書を学ぶチャンスが
なくなります。

書学名跡選『大久保公神道碑』を手元に置き全臨すれば、書たる基本が見えてきます。
更に上達をめざす方は、是非学んでください。


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